※三郎の出生について100%ねつ造しています!!オリキャラもいます!
いろいろとあり得ない設定が満載です!!暗い表現があります。
読んだ後に不快感を覚えても苦情は受け付けません。
苦手な方はここでお戻りください。
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最初の話(次郎之助視点)
愛しい愛しい我が子――。
彼に教えてやりたい――。
世界の広さを、人の温もりを、辛いことも幸せなことも――。
10年ほど前。森の領主がとある触れを出した。
「森で異形の鬼子が土地を荒らしていると聞く。鬼子とはどのようなものか。生け捕ったものには報奨金を出す。」
しかし進んで受ける者はいなかった。
あの鬼を見れば気が狂う。
叫び声を聞けば気が狂う。
そんな鬼子を生け捕るなど不可能。進んで気を狂わすものなどいない。
いつまで待っても鬼退治に出るものがなく。痺れを切らせた領主が家臣へ命じた。
「噂の鬼子を捕えてまいれ。」
命じられた男は、この城でも五指に入る武者であった。鎧姿で森へ入りそしてそのまま、待てども待てども帰る様子はない。
城下に再び噂が流れる。
あそこの鬼子は人を食うぞ。
狂った人間を餌食にして。
毎日腹をすかせて叫んでいるらしい。
噂は城内へも流れ、領主がついに隊を率いて森へ赴こうとしたとき、とある忍がどこからか領主へ囁いた。
私ならば、必ず成功させて見せましょう。成功の暁には、私の主となってくださいませ。
領主は快く了承しその忍へ命じた。
「森の鬼子を生け捕りにせよ。」
かくして忍は森へ出かけた。
忍の名は鉢屋次郎之助。先日、己の主を亡くし、フリーの忍となり下がってしまった男だ。
主を亡くしてしまった今、生きることも面倒になっていた。
もし真実鬼がいて、殺されるのも、悪くはない。
人を殺し人を殺し人を殺して生きてきた自分だ。ここらで終わらせるのも、悪くはない。
または、鬼子を捕え、新しい主を得るのも、悪くはない。
自暴自棄になっている自覚はあった。
しかし、心はどうしようも無く荒れていた。
鬱蒼としている森。その中に足を踏み入れた次郎之助が感じているのは、ただ面倒だということと、評判の鬼への好奇心。
はてさて噂の鬼とはどのようなものか?
目は釣りあがり、爪は刀の如く、口には牙がずらりと並んでいるのだろうか?
はたまた子とはいえ姿は大男。一本角に虎の腰巻でもしているのか?
ああ恐い恐い。楽しみだ。
次郎之助の口が、ニヤリと歪む。
そして一刻ほど歩いた頃。
次郎之助は何かの気配を感じ取った。
この辺りは肉食の獣がいると聞いたが…いや…それにしては小さい。それに視線を感じるが殺気は無い。…観察しているのか。
男は再び口を歪めて笑った。
面白い。
これが噂の鬼ならば、おそらくとても賢い。闇雲に飛びかからず対象を観察し、敵か味方かを見極めようとしている。
それに…。
気配の消し方。追跡のしかた。そして期の見極め方。これらはまるで自分と同じ忍のようではないか。それもそんじょそこらの忍たまじゃまず太刀打ちできない。
これは村人たちが怯えるわけだ…。
次郎之助も様子を見ようと動きを止める。いつ攻撃してきてもいいように体をいつでも動かせるように緩ませる。
どれほどの時がたっただろうか。意外と根気があると感心していたら、気配が動いた。ゆっくりと目の前に移動している。
ようやく仕掛けるかと目の前を注視していると、
目の前に突然、巨大な綿毛が生えた。
それが、後の息子に対する第一印象だった。
よくよく見ればその綿毛には首や手足が生えていて、次郎之助はようやくそれが噂の鬼子だと理解したあと、
「……ぷ。く、くくく……。…あーーはっはっはっはっはっ!!!」
爆笑した。腹を抱えて。
目の前の綿毛がまたゆらりと揺れて、その様子にまた笑いがこみ上げる。
よく見ればその白いものは髪であり今まで櫛など一度も入れたことはないのだろうそれは巨大な毛玉と化していたのだった。
(これが!これが鬼だと言うのか!!見れば人を狂わせる!?これがか!?)
もう一度ゆらりと毛玉が揺れて、それが首をかしげているのだと理解してまた笑った。
腹を抱えて笑うのは久しぶりだった。笑すぎて腹筋がひきつっている気がする。
そんな次郎之助を見て何を思ったのか、綿毛がゆっくりと近づいてきた。
笑いを引っ込め、次郎之助はその様子を注視した。
ゆっくり、ゆっくり近づいたその子供は、私の腹へそっと手を置いたのだ。
子供は顔を上げ、私の顔を見上げる。
その瞳の赤色を見て、次郎之助は息を飲んだ。
その赤に驚いたのではなく、その色と揺らめきが示すものに絶句した。
心配、している?
とたん、どうしようもない愛しさがこみ上げてきた。
心配されるなど、何年ぶりか知れない。
次郎之助は、その白い髪へそっと手を置いた。心配気な瞳が今度は驚きに瞬いたが、構わず撫でてやれば気持ちよさげに目を細めるその様子に、また胸に熱い思いがこみ上げてくる。
よく見れば、その子どもはただの子供だった。小さな手足も。聡明な眼差しも、好奇心にあふれた表情も。村や町にいる子供と変わらない。
白い髪。赤い瞳。
それだけを見て皆この子を鬼子だと呼んだのだろう。
かわいそうな子だ。きっと、物心つく前に捨てられたに違いない。ここまで育ったのが奇跡なんだ。
次郎之助はゆっくり頭を撫でながら「名前は?」と問いかける。
「………。」
やはり、通じていない。それを確認して次郎之助は勝手に話すことにした。
「俺は、お前を生け捕ってこいと命じられた。」
「……………。」
「だが、俺はお前をあの領主に渡したくはない。どうせ兵器にしようとしているのだから。」
「……………。」
「だから俺は逃げようと思う。お前を連れて。このまま放っておいたら、きっと次は兵隊が来る。ひょっとしたらお前の敵じゃねぇかもしれないが、それでも危険なことには変わりない。」
「……………。」
「お前、俺と来るか?」
「……………。」
言っている意味が、わからないのに。
次朗之助は懇願するように手を握る。
頼むから、一緒に来てくれと目で、表情で訴える。
それが通じたのか、それとも何か別の意味があったのか。
子どもは頷いた。
そして、二人は森を出たのだった。
それが、この子のはじまり.。
あとがき
三郎出生話。養父視点でした。
それから二人はらぶらぶ家族になるのです。
実は三郎受にはまったのはこの話が頭にブワァーっと浮かんだのがきっかけ。
電車の中で1時間半。5000字以上。携帯てポチポチと。
最初は三郎視点と交互に入れ替わる一本の話だったのですが、分かりずらいので二つに分けました。
お気に召しましたら幸いです。
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