ワンワン!!



「ハーチー!!!」
「あ?三郎今作業中っておわぁああああ!!??」
ドーンっと効果音が出そうな勢いで三郎は餌やり中の竹谷に飛びかかった。
いくら竹谷が頑丈で力が強いと言っても同年代の男に思い切り飛びかかられれば倒れてしまう訳で。
どしゃぁぁぁっ!!と二人は同時に地面に倒れた。
賢い獣たちはそれを悠々と避けながら、ばらまかれた餌を啄ばんでいく。
「三郎!!危ないだろうが!!」
「…ごめん。」
(ん?)
いつになく殊勝な三郎の反応に、ようやく竹谷は首を傾げる。
そしてのしかかってきた三郎を見上げ、その頭の物体に目を見開いた。
三郎の鬘と同じ色の耳が、しゅんと垂れている。
じっと視線を下ろすと、ふさふさの拗ねたように尻尾がゆらり、と視界に入る。
「………んん?」
ずりずりと三郎の下から這い出て、まじまじとそれを見つめる。
「犬の、耳?」
「伊作先輩が面白い薬出来たからって、くれたんだ。そしたら、これ生えてきて、それで、ハチに会いたくなったから…。」
「!!」
項垂れる三郎は明らかにいつもと様子が違う。
(…犬っぽい?)
感情表現が激しいところといい、自分に懐いてくる様子といい、まるで本当に犬に近付いているようだ。
「…反省してんならいいんだよ。俺も怒鳴って悪かった。」
「ハチっ。」
ぱぁぁ、と三郎の顔が明るくなる。
(かっ可愛い!!)
いつも竹谷にはつんけんした態度しかとらない三郎が、ここまで懐いてくるのは初めてのことで。
免疫の無い竹谷はその笑顔にあっさりと陥落する。
思わず抱きしめてしまっても、三郎は嫌がる様子も無く、むしろ視線の先で動く尻尾は嬉しそうに振られている。
そのあからさまに可愛い反応に竹谷はますます抱きしめる力を強めた。
「ハチ、痛い。」
「あ、悪い。」
三郎の言葉に慌てて体を離すと、三郎はまだニコニコと笑顔のままだ。
「ハチ。」
「な、なんだ?」
「この薬の効果は、一日だって。」
「一日?」
「そう。だから。」
遊ぼうぜ。
竹谷の上に乗りながら、三郎は楽しそうに笑う。
視線の先でふさふさと尻尾が揺れて、ときおりピクリと動く耳に、目が行く。
竹谷はしばらく黙り、そして次いで出たため息は、わかりやすく了承と諦めを三郎に伝えた。

あとがき
犬っぽく竹谷に懐く三郎はきっと貴重^p^
竹谷もメロメロさ!!雷蔵はいっつもそんな笑顔向けられてるんだぜ!羨ましいな!!

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