天体観測
(三)「寒い!!」
(雷)「しょうがないだろ夜なんだから。」
(兵)「三郎寒がりだもんな。」
(三)「なんでお前らそんな薄着なんだよ!?寒いだろ!?」
(竹)「いや別に。」
(兵)「うん別に。」
(雷)「丁度いい。」
(三)「おかしいぞお前ら!!むしろ私が見ていて寒い!!なんとかしろ。」
(竹)「理不尽な…。」
(雷)「寒くてすこし頭がおかしくなってるだけだから気にしなくていいよ?」
(三)「雷蔵!?」
(兵)「まぁまぁみんな。本来の目的を忘れてはいかんだろ。」
(兵)「おう。せっかく夜に外で集まったんだからな。」
(雷)「そうだね。三郎もうるさいし。早く公園に移動しよう?」
(三)「ら、雷蔵…?私何かしたか?」
(竹)「(なぁ雷蔵って…)」
(兵)「(眠いんだろ?さっきから欠伸ばっかしてるもんな)」
(竹)「(…さっさと移動するか。三郎が危険だ。)」
(四人)「「「「おおおおお〜」」」」
(兵)「結構見えるもんだな。」
(三)「ここだけ不気味に灯りないもんな。」
(竹)「不気味にとかいうな。」
(三)「さて、んじゃ天体望遠鏡は?」
(竹)「え?無いぞ。」
(三)「はぁ!?じゃあなんで天体観測よ!?そのでかい荷物はなんだ!?」
(竹)「いやいやこうして星を眺めるだけでもロマンを…。」
(三)「ハチ殺す。」
(竹)「待て待て待て!!その代わりほら!これもって来たから!」
(三)「…星座盤。」
(雷)「なつかしー。ハチ使い方覚えてるの?」
(竹)「いや?」
(三&雷)「「……。」」
(兵)「あ。俺覚えてるかも。」
(雷)「さっすが兵助!!」
(三)「偉いぞ!どっかの八左ヱ門とは大違いだ!」
(竹)「どっかのって思い切り名指しじゃねぇか三郎!」
(三)「うるせぇ!じゃあそのデカいカバンの中身を言ってみやがれ!」
(竹)「菓子。あとお茶。」
(三)「遠足か!!」
(雷)「兵助、わかる?」
(兵)「ん、あれが琴座。んであっちが蠍座。」
(竹)「おお。兵助が真面目っぽい。」
(三)「なぁ。じゃああの辺は?」
(兵)「豆腐座だ。」
(雷)「……は?」
(兵)「豆腐座。」
(竹)「……ちょっとそれ見せてみろ。」
(兵)「いやいやお前は友を疑うのか?」
(竹)「おお疑うさ。おら寄越せ。」
(兵)「あっ!!ハチの横暴!!鬼畜!」
(竹)「だれが鬼畜だ。あれ白鳥座じゃねぇか。なんでも豆腐にすればいいと思ったら大違いだぞ。」
(兵)「立方体の形してんだから豆腐座でいいんだ!」
(竹)「あれを立方体にするのは無理があるだろ!!」
(兵)「だいたい白鳥も豆腐も白いんだから同じようなもんだろうが!」
(竹)「だから無理だって!生物と無機物一緒にするな!!」
(雷)「さすがに厳しいよ兵助。」
(三)「いや。さすが兵助だ。自分のアイデンティティをあそこまで大切にするのは見習うべき長所だ。」
(雷)「なに言ってるの三郎?ついに頭壊れたの?」
(三)「と、いうわけで私も雷蔵座を作ろうと思う。」
(雷)「馬鹿だろお前!?っていうか人を勝手にお星様にしないでよ!!」
(三)「あ。そうか。」
(雷)「そうだよまったく…。」
(三)「じゃあもし雷蔵が先に死んでしまったら雷蔵座を作って自分を慰めていよう。」
(雷)「全然わかってない!?」
(三)「雷蔵も私が死んだら三郎座を作ってくれ。」
(雷)「いやだよ!?何言ってるの!?」
(三)「やだなぁ雷蔵。冗談に決まってるじゃないか。」
(雷)「そ、そうだよね。まったく三郎ったらそういうこと言いそうだから本気にしちゃったよ。」
(三)「私は雷蔵より先に死なないし、雷蔵が死んだら私だってすぐ後を追うんだから、星を見ている暇なんてないだろう?」
(雷)「………………お前ってやつは…。」
(三)「ん?なに?」
(竹)「おいそこのバカップル。」
(三)「なんだ?」
(雷)「三郎。返事しないでくれる?むしろもう黙って。何もしゃべらないで息しないで。」
(三)「何で怒ってんの雷蔵!?」
(雷)「ハチも。怒るよ?」
(竹)「いやだって今のやりとり…。」
(雷)「なに?」
(竹)「…ナンデモナイデス。」
(兵)「…なぁ。お前ら星見ようぜ。」
無理矢理終わる(笑)
別にオリオン座流星群が来てるからとかそういうネタじゃなくて。
四角いものを他に思いだせなかったんです。(←ダメだろそれも)
バケツ豆腐
それは、白だ。
雪より白く輝くそれ。
表面には薄く水が張られ鮮度を保っている。
恐る恐る触れてみる。
儚く崩れてしまうかと思えば、思わぬ弾力性に震えた。
思わず感嘆の声をあげてしまう。
ああ…っ!なんて素晴らしい!!
「豆腐ーーー!!」
「やっかましい!!」
「感動したのは分かったから。さっさと食えよ兵助。」
「見てるだけで気持ち悪くなりそう…。」
「なんて素敵なんだ。これは夢か?夢なのか?いやまさしく俺の夢が叶われる瞬間だ!!」
「だからうるさいっての。」
「しっかしまさかこんな阿呆なもの作るやつが兵助以外にいるとは思わなかったぜ。」
「まぁ…発想は分かるんだけどさ。パフェとか杏仁豆腐なんかはこんなのあるけど…。」
「まさか実在するとはなぁ…。」
「バケツ豆腐…。」
「入ってるのは桶だけどな。」
「まあ豆腐だし。」
「十分過ぎるだろ…。兵助以外食べるやつなんているのか?」
「この辺の名物らしいよ。」
「少なくとも一人で食べるもんじゃない。」
「見ろ。豆腐小僧は一人で食う気満々だ。」
「兵助。そんな桶抱えなくても誰もとらないから。だからちゃんとよそってから食べなよ。」
「いや(モグモグ)よそってる(モグモグ)間がもったいない(モグモグ)」
「さいで…。」
「あ、すみません俺つくね照り焼き。」
「私サーモン。」
「あ。彼と同じので。」
「私これおかわり。」
「「「早っ!!」」」
「お土産も買うぞ!」
「「「まだ食べるの(かよ)!?」」」
東京の神田に「バケツ豆腐」ってのがあるんです。久々知が喜びそうだと思ってsss。
火傷(大鉢)
「まったく…燃えてる船に残るなんて馬鹿ですか。」
「馬鹿とはなんだ馬鹿とは。」
「馬鹿じゃ無ければなんですか?阿呆ですか間抜けですか。」
「おい鉢屋…なにをそんなに怒っている?」
その言葉に、三郎は手を止めて目の前の男を冷たく見つめた。
「怒ってる?私がですか?」
「怒ってるだろうが。」
「うぬぼれないでください。私は怒ってなどいません。呆れているだけです。」
「仕方ないだろうが。あのまま船に子供たちを残すわけにもいかん。だが、だからと言って私まで降りてしまえばドクタケたちの攻撃を受けることになっただろうからな。」
「言い訳は無用です。こんな…、」
目の前の、真っ赤に腫れた体をバシンと思い切り叩く。その衝撃と痛みに思わず「う゛っ。」と呻く大木を無視し再びその細い指に薬を付けて、赤くなった箇所へと塗り込めた。
「火傷までして………馬鹿ですか。あんた。土井先生が教えてくれなかったらどうするつもりだったんですか。」
「…………。」
大木は静かに、薬を塗ってくれる三郎をじっと見つめた。しかし、俯くその表情は読めない。
「おい泣くな。」
「誰が泣いてますか!適当なこと言わないでください!」
勢いよく反論する顔は、確かに泣いてはいないようだ。
しかし、かろうじて堪えてはいるのだろう。その目は水の膜が張って、少しでもつつけば零れ落ちてしまいそうだ。
大木を睨む目は、真摯に見つめる大木の目と合った途端に力が無くなった。
「……あなたが忍の世界から去って………もう、明日、あなたを失うかもしれないという不安から逃れられたと思ったのに……。」
「鉢屋……。」
「なぜ!いちいち首を突っ込もうとするのですか!!隠居したなら年寄りらしく茶でもすすっていればいいものを!」
「…鉢屋。…すまん。」
そっと、その頬を大きな手が撫でる。その拍子に、三郎の瞳からツゥと零れた雫は、三郎の頬を伝うことなく、大木の手の上に流れていった。
「雅之助さん…。」
「…すまん。鉢屋。俺には出来ん。子供を、お前たち生徒を、見捨てることなど出来んよ、鉢屋。」
その言葉に三郎は答えず、ただ目から零れる雫を流れるがまま静かに目を閉じた。
知っている。
この優しい元教師が元とはいえ生徒を見捨てられる人物ではないということは。
学園を去った後も何かと学園を気にかけ、不穏な空気があればすぐに動き、自らを危険に晒すことを厭わない。
強くて、優しい人だと知っている。
しかし
「…死なないで。」
「…鉢屋。」
「お願いですから、死なないで。」
お願いですから。ともう一度言うと、三郎は大木の胸にぽすりと体を預けた。目の前に見えるのは、赤く腫れた、火傷の痕。
それを痛ましそうに見る三郎を見つめる大木もまた、苦痛の表情を浮かべている。
三郎の、その心の臓が止まってしまいそうなほどの、切ない願いに応えることはできない。頷くことはできない。
きっとまた、自分は彼らを救うために我武者羅になってしまうだろうから。
「…すまん。鉢屋。」
「……………。」
その心を知っている三郎もまた、何も答えずに、ただ静かに涙を流した。
アニメの大木先生に大変萌えた。