朱に交われば?類は友を呼ぶ?まぁ結局は仲良しってことだ。


鉢屋三郎は学園では結構な有名人だ。
変装名人としてもそうだが、なにより有名なのは希代の変人という事実そのものだろう。
そして、この変人の友人である俺たちもまた、変人と見られることが多々ある。
まったく。不本意な話だ。

「不本意・・・ですか。」
「そうだろう。あいつが変人だからって、なにも俺まで変人扱いされる謂われはない。」
そんな話を、俺は後輩の孫兵としていた。
現在位置は裏山。現在時刻は夕方。人数は今は二人。
今日も今日とてジュンコ捜索である。授業が終わったあとからずっと探しているが、もう日が暮れる。一年生たちは帰すべきかもしれない。
合図の笛を取り出していると、孫兵が「ところで先輩。」と話かけてきた。
「なんだ?」
「先日、先輩方を町でお見かけしたのですが。」
「町で?孫兵町に行くなんて珍しいな。」
「実習で…。いやそんなことはどうでもいいのです。あの…あのとき…。」
「うん?」
「……全員女装されていたのですが。」
「…ああ!!あの日な!」
「先輩方も実習で?」
「いや?違う。」
正直に答えたというのに、孫兵は複雑そうな顔でじっと俺の顔を見つめてきた。
いきなりこんな話題を振ってきたというのにどうしたことだろう?
「…授業でもないのに、なぜ女装を?」
「いや三郎がな。」
その名前を口にしたとたん、孫兵はますます微妙そうな顔をした。その表情はあれだ。「やっぱりか。知りたく無かったけどやっぱりか。」と言いたげな顔だ。
「三郎の奴が、町に遊びに行くならどうせなら女装して誰かに奢らせようって言い出して。一応俺だって反対したんだぜ?俺の女装の成績最低クラスだしよ。」
「はぁ…。」
「そしたら三郎のやつ、「私が化粧してやるから!!」っていやに乗り気でよ。まぁ三郎の腕は信用してるから任せたんだ。」
「ええ…違和感ありませんでした。」
「だろ?やっぱすげぇよなー。あいつ。」
あの技術をもっとほかの真面目なことに使えばいいものを。と呟くも、孫兵の微妙な顔は変わらない。
なぜか、俺が三郎の話をするとみんなこんな顔をするのだ。俺だけでなく、雷蔵や兵助もそうらしいが。
やはり三郎が変人だからだろう。良い奴ではあるんだが、周囲の評判は否定のしようがない。
「それで、計画は上手くいったのですか?」
「おお!まずは兵助が金持ちそうな男に近寄ってよ!なにしろ天然であのまつげだろ?おっさんがぽーっとなっちまってさぁ!それからはあれだよ!若い娘4人であの手この手使ってホクホクよ!」
「……………。」
なんだろう。孫兵の視線がものすごく痛い。
なんとなくたじろぎながら、「ま、孫兵?」と伺ってみる。
「先輩……。」
「な、なんだ?」
「周囲の評判に偽りはありません。」
「は?」
「間違いなく。鉢屋先輩と竹谷先輩たちは類友です。」
ビシリ、と断言して、孫兵は再び茂みに向かう。
俺はそれを呆然と見つめたあと、ため息を吐いた。
やっぱり、周囲の評価には不本意だ。



あとがき
いやそういう問題じゃねぇよと孫兵は三回くらい突っ込みたかったはず。
結局、三郎を甘やかして三郎の言うことを聞いてればそりゃみんな変人扱いされるよねって話。

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