惰性で廻る(携帯サイト)のもろこち様よりいただきました大人雷蔵×幼女三郎!!!
ひぃん雷蔵かっこいい素敵はぁはぁ//////////
これに何かSSをというお話でしたので喜んで書かせていただきました!絵の下にあります////
ありふれた話
ゆったりと青空の下のベンチに腰を下ろす。
その手に煙草をくゆらせ、虚ろな目で遠くを見つめる雷蔵を、道行く人がそっと覗いてまた去っていく。
圧倒的に多い女性のそれに、雷蔵は顔色を変えることなく手に持った煙草を口元へとやった。
深く吸い込み、ふぅと紫煙を吐きだす。
さりげなく足を組み直すその姿は、子供の声の響く公園ではなく薄暗い酒場で似合う仕草だ。
少し肺に残った煙も残らず吐きだし、違和感の残る左腕をぐるりと回す。
どうにも、「ここ」になにもないのが落ち着かない。
回しただけでは取れない違和感に、今度は手に持っていた煙草を口に咥えその手で肩を揉む。
しかし変わらぬ結果に、雷蔵は眉を潜めた。
数か月前は、こんなことは無かった。
縁あって子供を預かることになってから、雷蔵の日常が目まぐるしく変わった。
それなりに汚い大人の世界に薄ら笑いを浮かべていた雷蔵が、今は穏やかな笑みを浮かべることが多くなった。
妊婦の前だろうと平気で自分のニコチン摂取を優先していた男が、その子供の前で吸うのを躊躇うようになった。
(…勘右衛門に見られたら笑われるな。)
嫌な笑い方をする友人を思い出しますます雷蔵の顔が歪む。
久しぶりに吸う煙草は美味いはずなのに、嫌なことを思い出してしまったせいで味が感じられない。
口直しをするように、また深く煙を吸い込む。
吐きだされる紫煙はゆっくりと空に解けて消える。
太陽が目に眩しい。
そう感じるのも久しぶりだ。
「らーいぞ!!!」
自分の名ではないような明るい声に雷蔵がゆっくりと視線を向ける。
短いスカートを翻して、五歳ほどの女の子が雷蔵の元へ駆け寄ってきた。
「三郎。もういいの?」
「うん!」
えへへ、と笑って雷蔵の膝へしがみ付く三郎からさりげなく煙草を持つ手を遠ざける。
左足に感じる温もりに目を細め、慣れた手つきでその体を左腕で掬いあげてやると三郎も抵抗なくその腕に乗り、雷蔵の首へ腕を回して落ちないようにしがみついた。
「あのね、さっきちっちゃい犬がね!」
「うん。」
「私の顔ぺろぺろ舐めるのよ!可愛かったぁ!」
三郎に間違っても煙が向かないように風向きも確認し、さっきまで吸っていた煙を三郎から顔を背けて吐きだす。
まだ煙を上げる煙草を地面へ捨て、三郎の見えないように踵ですり潰し消火する。
完全に消火したか確かめるために下ろしていた視線を戻した拍子、ちゅ、と軽いリップ音と柔らかい感触が雷蔵の頬へ伝わる。
「犬がね、顔を舐めるのは大好きってことなんだって!私もらいぞう大好きだから!」
でも舐めるの恥ずかしから、ちゅーしちゃった。
思わず目を見開いて腕の中の子を見つめると、赤い顔ではにかんだような笑みを浮かべる。
だが驚いている雷蔵に不安になったのか、「らいぞう?やだった?」と一転声に涙が混じりだした。
「いや、違うよ。違う。」
語気を強めてそれを否定し、細い、細すぎる小さい体を抱きしめる。
「…嬉しいよ。僕も、三郎が好きだよ。」
腕の中の温もりに泣きそうになる。
愛おしい。
ここまで感情を揺さぶられることなど初めてで。
何者だって、雷蔵の心を動かすことなどなかったのに。
どうしようもなく、この子供が愛おしい。
「らいぞう?泣いてるの?」
「…男はね。泣いちゃいけないんだよ。」
にこりといつもの笑顔を向ける雷蔵に、三郎が唇を尖らせて首を傾げる。
「うそよ。そんなの。だってママが言ってたもの。」
ぽふ、と首筋に柔らかい腕が回される。フワフワの髪が、雷蔵の視界で踊った。
「女の人は、泣いてる男の人をぎゅうってしなきゃいけないのよ。私はちっちゃいけど、らいぞうが抱っこしてくれるからぎゅうってできるの。」
温かい腕に、久しく忘れていた涙が一筋、零れ落ちる。
たった一粒だけ流れた涙は、しかし雷蔵の中の何かが決壊した証であった。
「…ありがとう三郎。」
「どういたしまして!らいぞう。」
三郎の笑顔に雷蔵が眩しげに眼を細める。
この重みがないと落ち着かない腕。
少し綺麗になった気がする肺。
一筋だけ流れた久しい涙。
温もりの残る首筋。
どれも、三郎と出会わなければ知らなかった。
(失いたくない。)
彼女が居なくては、多分もう駄目な自分に気が付いてしまった。
(絶対に。)
人の笑顔を守りたいなんて、思ったことなかった。
(守るから。)
「三郎。…帰ろうか。」
「うん!」
腕に乗る三郎をそのままに、公園の遊歩道を歩く。
家に着くまでの間、雷蔵は笑みを浮かべている自分に気付くことはなかった。
ただ、三郎が雷蔵の顔を覗きこむたびに、嬉しそうな笑顔を浮かべていることに幸せな気持ちになっているだけ。
公園ではよくある風景の、よくある話だ。
おそまつっしたああああああああ!!!
いやもろこち大先生の絵にお粗末なものぶら下げて申し訳ないですほんとorz
もろこち先生ファンの皆様申し訳ありませんでした!!!
もろこち先生愛してるーーー!!!!
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