忍術学園の小僧たち

不運小僧
今日も、不運してますか?(セ○ムしてますか?的に)
(数)「今日は落とし穴に3回と、あと暴投された手裏剣に当たりそうになって避けたら泥だらけになった。」
(川)「僕は薬草園に行ったら石に躓いて顔面を思い切りぶつけてしかも薬草を台無しにしてしまってもう一度取りに行ったら虫に喰われまくりました。」
(伏)「僕も落とし穴に2回と、滝夜叉丸先輩に捉まってさっきまで自慢話を聞かされてました。あの人いつ死んでくれますかね?もしここから手裏剣投げて当たったらすごいスリル〜。」
(乱)「伏ちゃんやめなよ。気持ちはわかるけど。」
(伏)「そういう乱太郎はあんまり汚れていないね?何があったの?(すでに何もないという選択肢は無い)」
(乱)「うん私はね。まず綾部先輩の落とし穴に嵌まって泥だらけになってしまって、なんとか一人で出られたのはいいんだけど何処からかバレーボールが飛んできて思い切り頭に当たって気を失って、目を覚ましたら七松先輩が私をおぶって走り回ってて、そこにくせ者…多分粉もんさんだと思うんだけど、くせ者を発見してしまって、七松先輩は危ないからって私を6年長屋の辺りに置いてくせ者を追ったんだけど、私は泥だらけで廊下を歩く訳に行かないから外を歩いてたら今度は宝烙火矢が飛んできて、それでまた気を失って目を覚ましたらここだった。」
(伊)「うん。仙蔵の馬鹿にはちゃんと言っておいたから。勝手に着替えさせてしまってごめんね乱太郎。」
(乱)「あ、いえありがとうございます善法寺先輩!!」
(数)「…(乱太郎以上にひどい怪我だ)。」
(川)「…(さすが不運委員長。一体先輩にどんな不運が…)。」
(伏)「善法寺先輩は今日はどんな不運に会ったんですか?」
(数&川)「「伏木蔵!!(聞かないようにしてたのに!!)」」
(伊)「あはは。いつもと変わらないよ。穴に落ちて爆発に巻き込まれて鍛練に巻き込まれて石に躓いて泥だらけになったぐらいさ。」
(数)「…(いったいその短い言葉の中にどれだけの災厄が…)。」
(川)「…(絶対今言った以上のことがないとあの怪我は…)。」
(乱)「あの〜ところで…、その、後ろで死んでる潮江先輩は、いったい…?」
(数&川)「「乱太郎!!(せっかく無視してたのに!!)」」
(伊)「ああこれ?とりあえず無視してていいよ。ちょっとやり過ぎて死にかけてるだけだから。」
(川)「また鍛練のし過ぎですか?懲りないですね潮江先輩も。」
(伊)「……うん。そうだね。」
(数)「先輩。今の間は何です?まさか…。」
(伊)「えーと…、八つ当たり代わりに薬盛っちゃった☆」
(数&川&乱)「「「えええええええ!?」」」
(伏)「あは、さすが善法寺先輩〜。」
一番不幸なのは…(決まってます)。


穴掘り小僧

「はぁ…。」
忍術学園内稀代の変人、綾部喜八郎が麗人のように窓の外を見ながら溜め息を吐く。
それを端から見ていた同室の滝夜叉丸は嫌そうに眉間にシワを寄せた。
(こいつが溜め息を吐くなど、どうせろくでもないことに決まっている。)
触らぬ神、いや綾部に祟り無しと無視を決め込む。
そして綾部を究極視界に入れないように滝夜叉丸が自習を始めると、唐突にガクリと首を仰け反らされた。思わず「い゛っ!」と呻くが、滝夜叉丸の髪を思い切り引っ張った犯人は涼しい顔で「ねぇ滝滝丸。」と顔を覗き込んだ。
「誰が滝滝丸か!!私のこの美しい名前を間違えるな!!滝夜叉丸と呼ばんか!!」
「だって長いし言いづらいじゃない滝しゃしゃまる?」
「滝夜叉丸だと言っとろーが!!全くお前はろくな事をしないな!!珍しく何か考えていると思えば…」
「その事なんだけどね滝。相談なんだけど。」
「(だから滝夜叉丸と呼べと言っているのに全くコイツは…。)(まぁ間違えるよりはマシか。)…なんだ?」
「一。なんか嫌な感じに濡れた泥と落ち葉が沢山。二。痺れ薬を撒かれてご飯食べ損なう。三。何か登れそうな取っ手が付いてるけど、最後の最後で外れて逆戻り。どれがいいと思う?」
「なんだそれは!!お前まだ保健委員たち(主に委員長)に迷惑をかけるつもりか!?」
「違うよ。ただでさえ片っ端から穴に落ちてるあの人たちにそんなことしないよ。」
「ほう…?」
「今のは滝用。」
「貴様!!」
「ねぇどれがいい?」
「どれも嫌に決まってるだろうが!!」
「じゃあ全部ね。」
そう頷いて円匙を担ぐ綾部を滝夜叉丸は恐る恐る見上げる。
「喜八郎…。お前どこに行く?」
若干青ざめた滝夜叉丸の顔を綾部は不思議そうに見下ろし、「何を言ってるの?」と首を傾げた。
「滝を嵌める穴を掘りに行くに決まってるじゃない?」
「本気か貴様!?」
「嘘だと思ったの?」
その言葉に滝夜叉丸は思わず目を逸らした。この同室の友人(?)の考えていることが分かるのは作法委員の面々くらいだ。
まさかこれも冗談かと多少の希望を込めて再び顔を上げると、そこにすでに綾部の姿は無い。
さらに青ざめた滝夜叉丸が夜中じゅう学園内を探し回り、漸く泥だらけの綾部を見つけたときはすでに朝日が昇ろうとしていた。
綾部はというと昇る朝日を背に
「今日1日楽しみにしててね滝。」
と、それは美しい笑顔で微笑んだのである。


がり勉小僧
(褒め言葉)
「あ…。」
また居る。
図書室の戸を開き、真っ先に見つけた空色の小さな背中。
名は、確か黒木庄左ヱ門。兵太夫の組の学級委員長なのだと聞いている。は組で一番頭がいいのだとも。
なるほどその通りのようで、藤内はこの春から何度もこの背中を見つけていた。
懸命に本を読んでいたり、自習をしていたり。
それを見てなんとなく、本当になんとなく、藤内は嬉しくなる。
アホのは組と言われながらも予習自習を続けてきた自分と同じように、勉強を続けている一年生がいる。
心の中で密かに「勉強仲間」と思っていることは、にやけた顔と共に心の中に隠しておいた。




あとがき
最初はこちらを拍手に使用しようと思ってました。しかし三郎サイトで三郎が出てこないお礼ってどうなんだ?と思いなおして書き直し。
でもこれも気に入ってるのでこっちで普通に乗せました。
うん。実は穴掘り小僧を書くのが一番楽しかったです。文章の長さからいかに贔屓にしてるかがうかがえますね(笑)
黒伊作も書けたので、結構満足してます。

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