風邪を引いた日
体が熱い。
頭がくらくらする。
視界が、歪む。
「兵助。大丈夫か?」
耳に聞こえた声も、なんだか籠もって聞こえた。
しかしそれでも声のした方に顔を向けると、心配そうな顔をした恋人がいる。
「さ…ぶろ………?」
「勘右衛門に、今日の授業休んだって聞いた。お前が休むなんてよっぽどだろう?」
そっと額に当てられる手が気持ちいい。
それに目を閉じると、髪を優しく梳かれる感触がする。
「兵助。林檎摩ったんだ。食べるか?」
ぼんやりした頭で頷くと、そっと背中に手を当てられ優しく起される。
軋む体は力が入らないが、それでも助け起こされて上半身を持ち上げることが出来た。
すかさず背中にクッションを増やされ、起きやすいようにしてくれる。
悪い、と言おうと顔を横に向け、俺はゲフンっと変な咳を出してしまった。
「へ、兵助!?大丈夫か!?」
「カハッ、ケフッ!!お、おま……それ…………。」
「ん?」
三郎の細い体を覆うものが霞んだ目に眩しい。
可愛らしく首を傾げるその頭にはちょこんとそれを強調させるアイテムが乗っている。
…細かいところまでこだわるのはさすが三郎、なのだろうか。
「気に入らないか…?」
「いやそれはないけど。」
きっぱりと否定してやると、三郎は嬉しそうにえへへ、と笑った。
…かわいいなちくしょう。
「勘右衛門が、これ着たら一気に兵助の熱が下がるよって。」
三郎がそう言うと同時、枕元に置いておいた携帯が振動する。三郎に断ってから見ると送信元は勘右衛門となっていた。
『件名:どんぴしゃだろww本文:治ったらA定食三日分な。』
それに『件名:GJ本文;了解』とだけ返し、俺は再び三郎の姿を上から下まで見まわした。
白い天使と形容される姿そのままに、白いその衣装は三郎によく似合っていた。
ただ正規の物とは違いその丈は酷く短い。
ナース姿だった。それもミニの。その足元は網タイツまで履いている。
携帯を閉じた俺に、三郎がにこりと笑う。
「林檎。食べるだろ。」
「ああ。ありがとう。」
ぶっちゃけた話、衝撃が強すぎて本当に熱が一気に下がっていた。
だが三郎は変わらず心配そうに、俺に摩り下ろした林檎をスプーンで掬って差し出している。
大人しくそれに従って口を開くと、甲斐甲斐しくも食べさせてくれる。
幸せだ。
「食欲あるみたいだな。お粥も食べる?」
「ん。」
頷く俺に三郎がパタパタと足音をさせて台所へ向かった。
やばいまじでかわいい。
三郎もノリの良いやつだから着てくれたのだろうが。ナースで、しかもミニときた。
それを恋人が、俺が病気だからという理由で着てくれているのだ。喜ばなければ嘘だろう。
三郎は両手に一人用の土鍋を載せた盆を持ってすぐに戻ってきた。
「白粥だけど何か入れるか?鮭と梅干とおかかなら買ってきたぞ。」
「いや。このままでいいよ。ありがとう。」
「ん。」
礼を言えば照れたようにはにかむ三郎を、抱きしめたくなる衝動となんとか理性で抑え込む。
ただでさえ可愛いカッコをしているのだ。すぐに箍が緩んでしまう。
三郎はそんな俺に気づかず、ベッドの横に盆を置いて鍋の蓋を開けた。
ふんわりと良い香りが鼻孔をくすぐる。
「ぬるかったら言ってくれな。あっためてくるから。」
「わかった。」
はい、とさっきの林檎と同じように、三郎が匙を持って差し出してくれる。
俺はそれに食いつくように身を乗り出すが、その拍子。ガシャンッと鋭い音が耳を貫いた。
「あっ!うわ!!」
続いて聞こえた三郎の悲鳴に俺が遅ればせながら下を見ると、せっかく三郎が持ってきてくれた土鍋がひっくり返っている。
それも、三郎の上に。
「あ!!わ、悪い…………。」
「いや。私が不安定なところに置いてしまったんだ。」
自分に掛かった粥をそのままに三郎が土鍋(幸い、割れてはいなかった)を片付ける。
「ぬるくしておいてよかった。」
「あ、ああ……。」
三郎がそうして片づけしている最中、俺は返事をするのがやっとだった。
視線は、その粥が零れた辺りに固定されてしまって。
「兵助?」
「……………。」
白い、ドロドロした粥が三郎の腿の辺りに零れて撒かれている。服の上はもちろん。ぽとぽとと零れて腿から床や折りたたんでいるその足へ落ちている様も。
ごくり、と唾を飲み込んだ俺に三郎が首を傾げた。
「兵助?腹が減ったのならもう一度作るから、」
「いや。」
立ち上がろうとする三郎、俺の手が押しとどめる。
三郎は目をぱちくりさせて俺を見るが、その目に映った俺はなんとも切羽詰まった表情をしていた。
「これでいい。」
「へ?これで……って?!」
そのまま上体を倒して、三郎に圧し掛かる。
べろり、と舌を出して、三郎の太腿にかかった粥を舐め取ると上から「ひっ、」と悲鳴が上がる。
「お、おま、病人のくせに!!」
「だって、三郎がかわいい。もう限界。」
「だ、だって、ひゃんっ!!」
もごもごと白い粥のかかったところを舐め上げ食む。その感触に三郎はぷるぷると震えながらも俺が病人だと遠慮しているのか止める様子は無かった。
腿の上の物を全て舐め終わり、俺は調子に乗ってスカートの上に飛び散った粥も咥え舐め取る。
その際に、ゆるく立ちあがった三郎自身も食んで。
「きゃぅ!」
「ん、おいし…三郎。」
「ぁっ、やっ、へ、すけ!!この馬鹿!!」
三郎はようやく俺の額に手をやり俺の頭を離した。
俺が少々大げさに布団にひっくり返ると、三郎がはっとして覗きこんでくる。
「へ、兵助ごめん!力強すぎた、あ!?」
「いや?」
「〜〜こ、この、ぁん!?」
心配した自分を恥じるように悔しそうな顔をする三郎の、そのスカートの下に手を伸ばす。
もう起ちあがっているそこに緩く手を添えた。
「ひゃ、あっ、あぁ!ンゃ…あ、っへぇすけ!」
「…三郎かわいい。こっち来て?」
上体を支える腕を震わせながら、だんだん顔を蕩けさせる三郎を間近でうっとりと見つめる。
俺に促された三郎は一瞬考えるそぶりを見せたものの、起ちあがったものが辛いのか素直に俺の体を跨いだ。
俺は背中に置かれたクッションに体を支えられながら、膝の上に乗る三郎へ手を伸ばす。
足を開いたことでスカートが捲れ上がり、奥の立ちあがった者がスカートを際どいところで持ち上げている。
「は……やらし、」
「ば、ばかっあ!」
つん、とその立ちあがったそれを指先でつついて、三郎が喘ぐのを見つめる。
もう取れそうなスカートをそのまま指先で捲り、俺はその姿に息を荒くした。
網タイツに押さえつけられ、苦しそうに三郎自身が持ち上がっている。
先が滲んでいるそこに触れると、ぴくりと三郎の体が震えた。
「苦しい?」
「っは、ん、」
三郎はこくり、と頷きながら自分で伸ばす気配は無い。
俺の手を待っているその様子に微笑みながら、俺は素知らぬフリでそこから手を離し、三郎の体を抱える。
「へ、へいすけっ」
「ん?」
笑いかけながらプチプチと体の正面に付いているボタンと外していく。すぐに肌蹴け、現れた肌に掌を乗せると三郎の体がまたフルリ、と震えた。
「やっ、おまえ、ねつ……っ」
「三郎も熱いよ。風邪うつったかな?」
「ばっぁっあン!」
体はだんだん熱を持ち始めて、触れた飾りに三郎の体が震える。
変わらず、三郎自身は苦しそうにタイツに戒められたままだ。この状態では苦しい上に体が敏感なっていくばかりらしく、俺が体を撫でる度に三郎の体が震えるのを掌に感じる。
「へ、すけっ、へぇすけ!」
「ん?」
「もぉ、さわって…ぇ……、」
「んー?」
体と同様震える声で訴える三郎に下を見ると、しっかりと立ちあがったそこは震えてだらだらと先走りを零し、網状のタイツを濡らして色を変えてしまっている。
きついタイツの下は苦しそうだが、俺は三郎の要求通り、その上からぐっと握る。
「あっああああん!!」
「ぎちぎち言ってる…。」
「ふっ、ぅ、あっ…くるし、」
「そうだろうな。」
だが俺は解放せず、そのままグチグチと三郎のそこを撫で上げた。
「んっぁっあっいたぁ…あ!やぁっあ、ああああああ!!!」
タイツの中で三郎が欲を弾けさせた。
滲み出てきたそれが手に付いたので舐めとっていると、三郎が何とも言えない顔で俺を見ている。
俺が笑って見せつけるように舐め上げれば恥ずかしそうに顔を逸らした。
しかし、俺の上に乗ったままでそんな仕草されても可愛いだけである。
ようやく三郎の体へ手を伸ばし、ずるりと網タイツをずり下ろす。
現れた三郎自身と濡れた下肢にするりと手を滑らせた。
太ももまで下ろされたタイツに三郎は不自由そうに身じろぎするが、それ以上動こうとはしなかった。
「どうした三郎?今日は積極的だな。」
いつもなら嫌々と泣いて騒ぎ、俺がそれをゆっくりと溶かしていくというのに。
今日の三郎は妙に大人しい。
「だ…って、」
「ん?」
「へ、すけ熱あるだろっ」
「うん?」
首を傾げる俺にそれ以上答えるつもりはないらしい。
三郎は体を倒し、一度俺の首筋に顔を埋めて吸いついた。それにピクリと震えるのに構わず、だんだん下にさがって、ついには起ちあがり始めた俺自身へ唇を寄せる。
「んっ、ぅ…。」
「さぶろ……、」
くちゅくちゅと俺のをしゃぶる三郎の額をそっと撫でる。三郎はそんな俺をちらりと見た後完全に立ちあがった俺自身から唇を離した。
つう、とその薄い唇と俺自身の先端の間を伝う線が、イヤラシイ。
思わずごくりと唾を飲み込む俺に、三郎は勝ち気に笑って上半身を起こした。
「ん…っん、」
やばい。
三郎が自分の指を唾液で濡らし、自分の後孔に突き入れている。グチグチと音をさせて、恥ずかしそうに顔を俯かせながら俺の上で。
だが瞬きもせずに見つめるのに気がついてか、三郎はすぐにそこから手を離してしまう。
その代わり、俺の腹に手を置いて、くち、と濡れた音をさせて今まで慣らしていたそこに俺自身を宛がった。
「は、ぁ…へ、すけぇ…。」
「さぶろ…………、」
真っ赤になって溜まっていた涙が頬を伝うのを見ながら俺はその目の中で笑っていた。
「おいで。」
「んっ、あ!!あああああああああああ!!!!!」
もう足に力の入らなくなっていた三郎は一気に俺のモノを奥まで咥えてしまう。
三郎の足がペタンと折られ、上半身がプルプルと震えている。息は荒く、快楽に霞む目は宙を見ているようだ。
「…っ三郎。」
「はっ、あ…ん、んぅっ」
俺に名を呼ばれて三郎の目の焦点が合う。それからきゅ、と唇を結んでゆっくりと腰を持ち上げる。
「んっ、んっ…あぁっ!や、んぁあああ!!」
「っふ、三郎…ほら…もっと、動いてみて?」
「あ…アッ!ああっアンっはっああ!!」
俺の声に背を押されるように三郎の体が上下し快楽を引きだしていく。
きゅうきゅうと締めつけながら絞り取るように抜き差しされる感覚に、俺はすぐに息を詰めた。
眉を顰め快楽を堪える俺の顔に気がついたのか、三郎が荒い息を洩らしながらニヤリと笑う。
「へ、すけ…っぁ、あン!きもち…い?」
「…当然っ」
「んんっ!ふっぁっあアッあっはっンっあああっ!!やぁっへ、すけ、うごくなぁぁ!」
「んなのっ無理にっ決まってるだろっ!!」
「やぁぁぁ!あっあっああああ!!ばっ…か、びょうにんのくせにぃぃ!!!」
上半身を起こし下から三郎を付き上げる度に跳ねる体を抱きしめる。
三郎も堪え切れず俺の背に手を回ししがみついてきた。そのままガクガクと揺さぶるとさらに甲高い声で啼いた。
「ああっ、ア…んぁああああ!!や、へ、らめ、あっああああああああああ!!!!」
「んっ、」
腹に濡れた感触。さらに強い締め付けに自分も堪えずに三郎のナカへ欲を吐きだした。
「はっ、はぁ……。」
「ばかへーすけ………かぜひいてるくせに…………。」
「三郎のおかげでもう治った。」
「ばぁか…………。」
あながち嘘でもないのだが。三郎は冗談だと思ったらしく小さく笑ってから目を閉じた。
俺が寝ている間も看病していてくれたようだし、疲れたのだろう。
だが。
「ちょ、三郎…そのままで寝るのか…?」
なにせ今も衣装はかわいいナース姿のままで。
しかも白濁や汗で濡れた肌が見えてそれはとても扇情的で。
「…………。」
これ以上手を出したら怒られる。絶対。
俺はとだらだらと冷や汗を流しながらすぅすぅと寝息を立てる三郎を見つめるしかできないのであった。
なんとか後始末までしてやったというのに、風邪を引いてしまった三郎に大いに恨まれるというのはまぁ予想していた落ちである。
あとがき
コスプレリク「ミニスカナース」でした!!!
参考衣装はミクの恋色病棟より。もしくはゴスロリナースっぽいのを想像していただければ…。
三郎ミニスカにやにやしちゃうぜ/////
匿名の方からのリクエストなのでフリーにします!お気に召しましたらお持ち帰りください^^