心の篭もった嫌がらせ


「伝七!!」
「あ?なんだよ兵太夫。」
「これ、やるよ。(風呂敷包みを差し出す)」
「………。(警戒して受け取らない)」
「どうしたんだよ?受け取れよ。」
「…………中身は何だ。」
「いやお前が藤内先輩に自習の方法聞いてたから、作ってみた。」
「…………中身は何だ。」
「だから、自習道具。ちなみに三治朗には好評だった。立花先輩や綾部先輩にも。ぜひお前にも勧めてみろって言われたからわざわざお前の分まで作って持ってきてやったんだ。受け取れよ。受け取らないなら伝七が人の好意を無にするって立花先輩に言いつけてやる。」
「…わかったよ。(しぶしぶ受け取る)(何か仕込んであるとも限らないな…念のため持ち帰って佐吉に開けさせるか。)」
「なんか言ったか?」
「別に。じゃあな。」
「あれ?ここで開けないのか?感想聞きたいんだけど。」
「…本気で聞いているのか?」
「ん?なんでだよ。」
「お前!!そう言って今まで俺にしてきたこと、忘れたとは言わせんぞ!!」
「忘れた。」
「!!」
「あっはっはっはっ。そんな泣きそうな顔するなよー。嘘に決まってんじゃん。」
「お前…っ!」
「で、なんのことだっけ?」
「やっぱり忘れてるんじゃないかー!!もういやだ!!嫌いだお前なんかー!!」
「あ。わざわざ『お前のために』(強調)自習道具作ってきてやった僕に対してそういうこと言う?」
「うぐっ。」
「(そこで言葉に詰まるあたり良い子だなー。こいつ。) 大体なにをそんなに警戒してるんだよ。そんなにひどいことした覚えないぞ

「どの口がそれを言う!?」
「えー。」
「お前が何かよこすたび落とし穴に落ちるは訳分からんところに出されるは槍は降るし盥は落ちる!!何度命の危機を感じたかしれないんだぞ!!」
「知らないんだったらすっぱり男らしく忘れようよ。」
「ふざけんなーー!!!」
「うるさいなぁ。大体罠に一々かかる方も悪いんだぞ。ここは忍術学園なんだから。」
「限度があるだろ!」
「ああもううるさい!!とりあえずそれは先輩たちも三治朗も監修済み!!それならいいんだろ!?」
「………本当だな?」
「嘘は言っていない。なんなら先輩に聞きに行けば?」
「………わかった。これで騙したら…」
「くどい!!ほら開けろって!!」
「わ、分かった…。(少し重いな…。金属か?)」
がしゃん
「…は?」
「だーいせーいこー☆」
「へーだゆーー!!!!やっぱり騙したな!!なんだよこれ!!なんで手錠が勝手に腕にはまるんだよ!!」
「企業秘密なので言えません☆」
「☆じゃねー!!外せ!今すぐ外せ!!」
「だめだよ伝七。それは自習道具だっていっただろ?」
「は!?」
「自分で外さなきゃ☆ちなみに立花先輩は一瞬で解けた。綾部先輩は数秒。三治朗は少し時間がかかったけど、やっぱり自力で解いたから。頑張れよー。」
「え!?ちょ、ほんとにこれ自習道具なのか!?」
「だからさっきからそう言ってるだろー?心を込めて作ったんだから、がんばれよ。」
「〜〜〜〜〜〜。ちっくっしょー!!やってやる!!覚えてろよ兵太夫!!」
「あぁ。ちなみにもう少ししたら夕餉の時刻だから。」
「!!」
「じゃあね〜。」
「お前なんか…お前なんか…大っきらいだーー!!!」



「おやまぁ立花先輩。伝七が例の手錠を嵌められてますよ。」
「しかもあれは私たちの時より工夫してあるな。見ろ。バネが仕込んである。あれは生半可な力じゃ解錠しても外すのは難しいぞ。」
「偽の鍵穴もありますね。本当の鍵穴は伝七の死角だ。あれを見つけるのは一人じゃ大変でしょう。いつ気が付きますかね?」
「私たちに試してから短時間であれほどまで成長させるとは。さすが兵太夫だな。」
「愛が籠もってますねぇ。」
「まったくだ。」


あとがき
なにげに怪しいものを佐吉に渡そうとする伝七もS法委員(笑)
作法の1年はかわいいです。藤内も綾部もかわいいです。立花先輩はかっこいいです。


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