光の中
「あれ?三郎は?」
「なんかどっか出かけて行ったよ。」
「あいつこの暑いのによく出歩く気になるな……。」
「途中で倒れてないといいけどねーー。」
汗ばむ体を日陰に避難させながら力無く会話が交わされる。
三郎を抜かしたいつものメンバーは各々団扇や扇子片手にだらしなく寝転がっていた。
しかし日陰とはいえ男四人が集まればたいして涼しくはない。
四人は唸りながらも、上で輝く太陽を睨んだのだった。
一方その頃三郎は。
「あーー…極楽…。」
一人でこっそりと発見した一等地で涼んでいた。
もしばれたら文句を言われるどころの話ではないのだが、彼はこの場所に大人数が集まることの意味を知っていた。
「熱源はなるべく減らさないとなぁ〜。」
うっとりと三郎が目を閉じているそこは、忍術学園より少し離れたところにある洞窟の一つで。
山の涼しい風がどこからか流れ込み、洞窟で冷やされた空気が入口近くで座る三郎の下へ届けられていた。
ひょっとしたら奥まで見に行けば氷でもあるのかもしれない。
今度は道具を持って来てみよう。と三郎はぼんやりと思いを馳せた。
氷があれば、何人かここに居ても涼しさは変わらないかもしれない。そのまま削って食べるのもいい。
想像したら楽しくなってきて、そしてやはりいつも一緒の友人たちが今隣に居ないことに寂しさを感じてきた。
「…戻ろうかな。」
涼しい風に十分体は冷えた。
三郎は立ち上がり、外の刺すような日差しに目を細める。
その日差しに体が温まりすぎる前に、みんなでここに戻ってこよう。
探検の道具を持って。もちろん氷を入れる器は忘れずに。ハチが砂糖水を持っているかもしれない。兵助はきっと豆乳をもってくる。雷蔵が勧められて迷って、そして三郎と勘右衛門がそれを見ながら笑って氷を削るのだ。
これはきっと、そのまま現実に変わるに違いない。
三郎は微笑んで、光の中へ飛び出した。
あとがき
ほのぼのです。夏です。洞窟はあれです。きりちゃんが氷隠してた洞窟が学園の近くにあった気がするとおもって。
寂しん坊三郎wwwwあ。あと竹谷が砂糖水持ってるのはほら、カブトムシ取るから(^p^)
あまりにも短いので段を開けてごまかしました…orz