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君を愛することは簡単なこと


※愛され三郎。庄+五年→三郎風味かも。





こんにちは、みなさん。

よいこの1年は組の学級委員長、黒木庄左ヱ門です。
本日は、「いい鉢(屋)」の日ということで鉢屋先輩について他の五年の方にアンケートを取ってみたいと思います。
「おい庄左ヱ門。」
なに?彦四朗。
「先輩たち正直に答えてくれるか?六年生のところとか他の一年生のところの方がいいんじゃないか?」
大丈夫だよ。対策はとってあるから。
「大丈夫かなぁ?」
行くよー。



~尾浜勘右衛門のばやい~


と。言うわけで、我らが学級委員長鉢屋三郎先輩と並ぶ学級委員長尾浜勘右衛門先輩のところへやってまいりました。
「あはは。なっがい台詞よく言えたねぇ庄左ヱ門。えらいえらい。」
審判と実況で鍛えていますから。
インタビューを始めてもよろしいでしょうか?
「いいよー?鉢屋のことだって?何?」
一つだけです。
鉢屋先輩の、好きなところはどこですか?
「好きなとこ?」
はい。それが今回のインタビューの主旨なので。
「ふぅん…好きなとこ、ねぇ。」
なんでもいいですよ。中身でも外見でも。まぁ、見た目は不破先輩ですけれど。
「うーーん。好きなとこ、ねぇ?……ああ!」
はい。どうぞ。
「おもしろいところ、かな。」
なるほど。
「鉢屋といると飽きないよ。話してておもしろいし見てておもしろいし。」
「鉢屋先輩はお話上手ですから!」
「ああ彦ちゃん。違う違う。」
「へ?」
「あいつたまに変なこと口走るんだよ。この間は「八左ヱ門の髪って、さらさらになったらきっと世の中に異変が起きるんだろうな。だからずっと見てた方がいいぞ。なにかの前兆がわあるかもしれん。」とか真顔で言い出すし。」
それは…なんというか。
まぁ、たまにそういうことはおっしゃられてますが。
「だろう?おもしろいよなー鉢屋。兵助のこと天然って言ってるけどどっちが!って俺は思うね。」
高らかに笑ってらっしゃいますが、これ、あとで鉢屋先輩にお聞かせしますからね。
「え?まじ?」
まじです。
「あの、庄ちゃん、えと、それ消…。」
ご協力ありがとうございましたー。
「庄ちゃーーーん!!!」


~久々知兵助のばやい~


行動範囲が分かりやすい人からいこう。
「まぁその通りだな。この人なら、少なくとも竹谷先輩よりは分かりやすい。」
「それは褒めているのか?」
もちろん。久々知先輩なら食堂にいてくださると思いました。
「日々豆腐の研究は欠かせないからな!!!」
はい。すばらしいと思います。
「おい庄左ヱ門。流すなよ。」
なんのこと?
それではインタビューを始めたいと思います。
よろしくお願いします。
「よろしく。で?三郎の好きなとこだって?」
はい。なんでもいいので。
「なんでもねぇ…。」
前から思ってましたけど、先輩実は結構男らしいですよね。仕草とか。
「そうか?」
はい。今みたいに、腕を組んで考える姿とか。
「そうか。ありがとう。」
いいえ。
「…ああそうか。わかったぞ。三郎の好きなところ。」
それではお願いします。
「絶対、人を見かけじゃ判断しないところだ。」
ああ…なるほど。
「初めて会ったときなんかな。笑えるぞ。聞くか?」
はい。ぜひ。
「あれは1年の時だ。唐突に俺の目の前に立って、じっと睨んでくるんだよ。もちろん俺は三郎のことは知ってたがはっきりと対峙するのはそれが初めてだった。それで睨まれたもんだから、『何か用か?』って聞いたんだ。そしたら、ますます嫌そうな顔してそっぽ向いて『なんだ。詰まらん奴じゃないか。』ってそりゃあもう不機嫌丸だしで言うんだ。一応、それまでい組としてのプライドも技量もあったんだけどな。そんなの鼻で笑われたよ。」
……鉢屋先輩。そんな喧嘩腰だったんですか。
「久々知先輩、よく怒りませんでしたね?」
「怒るより前に面食らったな。なんも言わずにいたら『周りが「化けるなら久々知兵助はどうだ」っていうから見に来たのに。なんだつまらない。意外性がない。お前、優秀さと勤勉さと顔以外に取り柄はないのか?』って偉そうに言うもんだから、思わず「豆腐が好きだ」って言ったらちょっと笑ったな。で、「女みたいな顔して、意外とはっきり物を言う。雷蔵ほどじゃあ無いが、お前もおもしろいかな?」って。あいつあのときから雷蔵大好きだったんだなぁ。」
笑ってないで先輩。それは怒るところじゃないんですか?
「いやあそれがさ。俺はそれが嬉しかったよ。」
はぁ。
「顔はまぁ、ともかく。勉強していい成績を取るのは好きだったけど、俺にはそれしか無い気がしてた。友達と笑うことも遊ぶことも少なくて、それしか取り柄が無いと思ってた。だから、内心三郎に問われて肝が冷えたよ。」
「絶対、そんなことは無いってとっさに思った。それで、三郎は笑ってくれた。今までの俺を否定した。今でも、それは感謝してる。あれがなかったら、たぶん今の俺はここにいないだろうからな。」
なるほど……。お話、ありがとうございました。
「いやいや。これからハチと雷蔵のところも行くんだろう?あとで三郎の反応を聞かせてくれ。」
はい。必ず。


~竹谷八左ヱ門のばやい~


さて。次は竹谷先輩行ってみよう。
「すぐ見つかるかなぁ。」
大丈夫。手は打ってある。
ああ生物委員会室だ。失礼しまーす。
「おー。」
「あ?あれ?竹谷先輩??」
「ん?ああ。今日は虫かごの補修作業があってな。動物たちの世話は孫兵たちに任せたんだ。」
それはちょうどよかった。
「ああ。昨日なぜか無事なはずの虫かごが消えちまってよ。中は空だったからまぁいいが、こうなったら壊れたのを補修しないと入れる場所が無くなっちまうからな。」
「………ソウデスカー。」
なに?彦四朗?
「別に……。ちゃんと戻せよ。」
もちろん。
「で?お前等確か三郎の後輩だよな?何か用か?」
はい。今インタビューを行っていまして。かくかくしかじかで鉢屋先輩の好きなところをお聞かせください。
「小説は便利だな。」
「あー…なるほど。まぁ、ちょっと照れくさいけど、いいぜ!!乗った!!」
ありがとうございます。
「しかし三郎の好きなところ…なぁ。好きなところ…。うーん。」
どこでもいいんですよ。
「うーん………そうだな、ありきたりかもしれんが。」
はい。
「優しい、ところだな。やっぱ。あいつ、普段から人間観察してるせいか、行動がおかしいやつとかすぐ見つけるだろ。言うと否定するけどな。」
そうですね。
「はい。先輩には怪我もすぐに見つかってしまいます。」
「そうなんだよな。俺も、あいつに隠し事できた試しがねぇ。」
嬉しそうですね。
「ああ。三郎はあれで人嫌いなところがあるけどよ、遠まわしでもそいつを助けようとするんだぜ。誰かにそれとなく伝えたり、他の奴に分かりやすいように行動させたりとか。」
ああ、鉢屋先輩らしいです。
「だろ?人じゃなくても、たとえばこれは内緒って言われてるんだけど、三郎が生物委員に怪我した動物よく連れてくるんだ。もう数え切れないくらいな。」
え。でもそれって。
「俺とかうちの委員が拾ったことにしてるけど。その中にだって三郎が拾ってきたやつは結構いるんだぜ?」
そうだったのですか…。
「おうよ。困った奴をほっとけないってのは、あれはもう三郎の性分なんだろうな。俺は、あいつのそういうところが好きだ。」
はっきりしてますね。
「難しく考えることはないだろ?俺たちはあいつが好きで友達やってんだからよ。」
「…聞いてるこっちが恥ずかしいです。」
彦四朗が赤くなることないのに。
「なんでお前は平気なんだよ。」
さあね。竹谷先輩。ありがとうございます。
「次は不破先輩かぁ。今日中に終わるかな。」
さあ…そればかりは僕にはわからないよ。
「大丈夫だって。」
…断定しますね。
「言っただろう?難しく考えることじゃねぇんだ。俺たちにとっちゃな。」


~不破雷蔵のばやい~


ラストは大本命、不破雷蔵先輩です。
「先輩、委員会中にすみません。」
「大丈夫だよ。中在家先輩に許可貰ったから。インタビューだって?」
はい。ずばり、鉢屋先輩のどこが好きですか?
「三郎の?好きなとこ?」
はい。
「ふ、不破先輩!!!僕たちずっと待ってますから!!!」
「ああそんなの決まってるさ。迷うまでも無いよ。」
では。
「あいつが鉢屋三郎であるという、全ての要素だよ。その全てが、僕は好きだと思ってる。」
即答ですね。
「そりゃそうさ。僕はあいつの相棒なんだもの。悪戯好きなところも優しいところも努力家なところも公平であり冷静であるところも。全てが鉢屋三郎だからね。」
その、どれか一つではないのですか?
「なにかを選ぶってことは、何かを捨てるってことと同意だよ。僕は欲張りなんだ。」
なるほど。
「僕より君たちはどうなんだい?」
え?
「ぼ、僕たちですか?」
「そうそう。三郎喜ぶと思うよー?ほら。」
「うわっ、ぼ、僕は…鉢屋先輩のこと!!成績優秀でいつも優しくてとても強くて、そ、尊敬してます!!」
「ほら、庄左ヱ門は?」
僕は、かわいいところが好きです。
「へえ?」
多分、これを聞いているとき真っ赤になっていて大変可愛らしいと思います。
「………ちょっと庄左ヱ門。代わらない?」
お断りします。
不破先輩ご協力ありがとうございました。
「…あとでどんな反応だったかちゃんと教えてね。」
久々知先輩にも約束したのでその後で。それでは。このテープを鉢屋先輩のところへ持っていかなければいけないので。




「……………………。」
「以上です。どうでした?鉢屋先輩。笑ったり悶えたり涙ぐんだり忙しかったようですが。」
「ちょ、ちょっと待ってもうちょっと待って庄ちゃん。」
「はい。」
「……………すごく、嬉しいよ。ありがとう。でも、」
「はい。」
「これ聞いた後で、どんな顔してあいつらに会えばいいんだっ!!!」
「そのままでいいじゃないですか。」
「嫌だ!!こんな顔であいつらに会ったら絶対からかわれる!!」
「…もう遅いのでは?」
「!!」
「おーいさぶろー。」
「お腹空いたよ。ご飯に行こうよー。」
「今日は豆腐だぞっ!」
「逃げちゃ駄目だからねー。」
「みなさんインタビューの最中はそれはもう幸せそうな顔をされていたので、鉢屋先輩の反応をとても楽しみにしてらっしゃいましたよ。」
「逃げる!!」
「お気を付けて。」
ガラリと戸が開けられたと同時消える藍色に、目の合った先輩たちが苦笑する。
しょうがないのだ。今日は彼が愛される日なのだから。
目だけで頷きあって、先輩たちが散り散りになる。
あの様子では、やはり鉢屋先輩は逃げられるまい。
思う存分、可愛らしい三郎を堪能した庄左ヱ門は一人、委員会室でまったりと茶を啜った。

あとがき
いい鉢屋の日!?三郎くん愛そうぜ!!
ってことで愛され三郎のお話でした。
今年も可愛くかっこいい鉢屋三郎くんでいてください。


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